
北陸新幹線鳥瞰絵巻 高崎~金沢345.4km
車窓が紡ぐ絶景ストーリー
北陸新幹線の高崎から金沢までの345.4kmは、窓枠が天然の映画スクリーンに変わる旅。群馬の山あいを抜けると、雪化粧した妙高山が雲間に顔を覗かせます。軽井沢駅を過ぎたあたりからは、まるで水墨画のような浅間山の稜線が車窓を支配。旅行好きの中高年なら、懐かしいSL時代との風景の違いに感慨深さを覚えるでしょう。
特に注目は日本海が突然現れる糸魚川~富山間。左手に迫る立山連峰と右手に広がる紺碧の海が、3分間だけ共演する「絶景クロスポイント」です。カメラを構えるなら「しらさぎ」のヘッドマークが光る富山駅手前がおすすめ。夕焼けに染まる立山のシルエットは、デジタルカメラでも絵葉書のような一枚が撮れます。
歴史ロマンが詰まった駅弁散歩
新幹線旅の醍醐味といえば駅弁。高崎駅発車後すぐに「達磨弁当」の赤が目を引きます。群馬名物のおっきりこんにゃくが、素朴な味わいで旅情をかき立てる。金沢手前では「加賀百万石弁当」が漆器のような容器に登場。能登半島の海の幸と加賀野菜の競演は、車内で味わう小さな宴です。
各駅には隠れた歴史スポットが点在。例えば上越妙高駅周辺には、戦国時代の山城跡が散歩コースとして整備されています。30分ほどで登れる展望台からは、新幹線が田園地帯を駆け抜ける様子を俯瞰可能。アナログ好きなら、駅スタンプラリー用に革製の手帳を用意しておくと、旅の記憶がより鮮明に残ります。
秘境駅で味わう地域の鼓動
観光客が少ないローカル駅こそ、中高年旅人の探求心をくすぐるスポット。例えば黒部宇奈月温泉駅では、駅舎から徒歩5分で秘湯の足湯が楽しめます。登山電車に乗り継げば、日本一の峡谷・黒部峡谷へ。紅葉シーズンはエメラルドグリーンの川面と燃えるような山肌のコントラストが、カメラのメモリーを圧倒します。
雨の日は車窓が天然の水族館に。ガラスに流れる雨粒越しに見える棚田や茅葺き屋根が、日本原風景を演出します。金沢手前の河北潟では、冬になると白鳥の群れが新幹線と共演。車内アナウンスが教えてくれる絶景ポイントを見逃さないよう、常にカメラは手元に置いておきましょう。
アートと鉄道の融合体験
金沢駅到着前の最後の見どころは、兼六園をモチーフにした車窓アート。ガラス越しに広がる庭園のような風景は、実際に訪れる前の予習に最適です。駅に降り立てば、鼓門の木造建築が伝統工芸の町を出迎えてくれます。
旅の締めくくりは金沢21世紀美術館周辺の散策がおすすめ。新幹線の近代性と町の伝統美が融合した空間で、345.4kmの旅で感じた日本美の変遷を振り返りましょう。歩き疲れたら、ひがし茶屋街で金箔入りコーヒーを。湯気に舞う金の粒子が、新幹線の窓から見た雪景色を思い起こさせます。

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